2011年3月24日木曜日

放射能災害がもたらす不安への対処

今回の大震災は原発事故という特殊な災害を引き起こしました。大震災だけでも長い回復の道のりが必要なのに、放射能という容易に社会的パニックを引き起こしてしまう事態に、今後何十年も直面していかなければならないのです。メンタルヘルスの立場から、放射能がもたらす不安をどのように理解すればいいか、防衛医科大学の重村淳先生が要約してくれました。

原子力災害が与えるメンタルヘルスへの影響
放射能が与える心への影響はとても大きいです。放射線は目に見えなくて、どのくらい被爆したかが自分で評価できません。そのため、「被曝したかも」という脅威だけで、猛烈な恐怖を起こします。過去の事例を参考に、その影響をまとめてみました。
・被曝したと思う者は、実際に被爆していなくてもそれ相応の行動をとる
避難、病院受診など
医療者の説明が入りづらい
・医療機関には、不安にかられた人々が実際の受傷者以上に受診する
医療機能のパンク
多数の精神科事例が発生しうる
・不安、身体化が前面に出やすい
身体症状と精神症状との区別が難しい
ストレス反応症状(再体験、回避、過覚醒)は比較的出にくい
・人々の反応を決めるのは情報発信者の情報の伝え方(リスクコミュニケーション)
望ましい情報の伝え方 ⇒ 正確・迅速・透明性
望ましくない情報 ⇒ デマ・集団パニックを引き起こしうる
過剰な情報 ⇒ 不安を増強させる
・もっとも効果的な治療は「情報」
情報を複数箇所から入手して情報の精度を高める
放射能汚染を抑える方法を学ぶ
科学的データに基づく安心感の回復(放射線量測定、血液検査など)

また、不安に駆られた人に、どのように接すればいいのか、当委員会の委員であり、JCO事故で地域支援を行った経験を持つ武蔵野大学小西聖子、藤森和美がまとめました。
原発事故による避難者/被災者のメンタルヘルス支援について(PDF)
子どもたちの放射線被害を心配する保護者や教育関係者の皆様へ(PDF)

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