2011年12月27日火曜日

12/13 平成23年度自殺予防支援者研修会





訪問した仮設住宅(重村理事撮影)


12月13日、福島県県中保健福祉事務所、JSTSS共催の「平成23年度自殺予防支援者研修会」にて、 JSTSS重村理事(防衛医科大学校精神科学講座講師)は 「大規模災害が心に与える影響と自殺の危機:相談者への基本的な対応」を テーマに 講義を行いました。
当研修は、NPOパートナーシッププログラムの一環として公益財団法人Civic Force様からの支援を受けています。

受講者は、保健所職員、管内市町村職員、管内地域包括支援センター職員、 民生委員、県中ゲートーキーパー要請研修受講者など約100名。
主な内容は大震災後に起こりうる変化(うつ病、PTSD、悲嘆)と自殺との関連性、その防止方法についてでした。

また、重村理事は福島県精神保健福祉センター、福島県県中保健福祉事務所担当者、管内市役所職員との会合、仮設住宅視察なども行いました。

今後も定期的なコンサルテーションという形で活動を展開していく予定です。

12/8 福島県県北保健福祉事務所にて研修を行いました。



12月8日、福島県県北保健福祉事務所にて、市町村職員、精神保健福祉センターおよび保健福祉事務所職員(約30名)を対象に研修を行いました。
講師はJSTSS 前田正治会長(久留米大学医学部精神神経科学教室准教授)が担当。
当研修は、NPOパートナーシッププログラムの一環として公益財団法人Civic Force様からの支援を受けています。

「震災が被災者にもたらす心身の問題」をテーマに講義を行い、その後参加者をいくつかのグループに分けて討議を行いました。
そして最後に全体での討議を行い研修は終了となりました。
今回の訪問では各関係者の皆さまと協議を重ね、以下の課題点を把握することができました。

1.放射能にまつわる家族の離別の問題 
2.中高年男性、高齢者など、避難所外に出ない人へのアプローチ
3.睡眠剤など薬に対する偏見があるため、精神科治療が遅れること。
4.先の見通しが立たず、自殺につながる事態への対処。
5.支援者のフォロー体制作り

今後も現地のニーズを確認しながら、活動を展開する予定です。

2011年12月14日水曜日

12/7、8 仙台にて災害時のこころのケア研修会を行いました。





講義の様子




メリッサ ブライマー先生



パトリシア ワトソン先生とファシリテーターの大澤智子JSTSS副会長



こちらのブログでも告知をしておりました災害時のこころのケア研修会を、12月7日・8日の二日間、日本トラウマティック・ストレス学会と日本イーライリリー株式会社の共催で行い、好評のうちに終了しました。

7日は約70名、8日は約40名の方にご参加いただき、両日とも多くのロールプレイが行われ、実践的な内容となりました。

参加者は東北や関東のJSTSS学会員、東北三県で支援活動を行われている皆さんが中心で、北は北海道から南は徳島まで、その他兵庫、大阪、岐阜、愛知など、各地からはるばる仙台まで多くの方にお越しいただきました。

初日はJSTSS震災特別委員会加藤寛委員長の開会の辞から始まり、アメリカからお招きしたメリッサ ブライマー先生とパトリシア ワトソン先生によるサイコロジカル・リカバリー・スキル(SPR)についての講義がスタートしました。
通訳は二日を通してJSTSS大澤智子副会長が担当。
SPRの研修は本来通訳なしで丸2日かけて行うとのことで、今回はそれを通訳を入れて1日でできる内容に凝縮していただき、SPRの概略が理解できる内容となりました。
各セクションにロールプレイや質疑応答などをはさみ、被災地で実際に聞かれた声や現在困っていることなどを参加者から聞き取りながら講義が進められました。

二日目は、学校で事件や事故が起こった際に、サイコロジカル・ファーストエイド(PFA)をどのように使うのかが講義のテーマでした。
参加者を4つのグループに分けて、現在被災地の学校現場で起こっている問題を話し合い、それをシェアする機会が設けられたり、二人一組でのロールプレイ、またグループでPFAを使う時のロールプレイなどが行われたりしました。

講師のお二人は、今後の東北における復興において今回の研修が役に立つことを願うということ、そして既に多くのすばらしいことが被災地において行われていると聞き感銘を受けたという言葉で講義を締めくくりました。

ご参加いただいた皆様、どうもありがとうございました。

12/6宮城県看護協会で研修を行いました。





講義の様子




大澤智子JSTSS副会長


12月6日宮城県看護協会会館・看護研修センターにて、「看護管理者として災害に備える懇親会」の一環として、JSTSS副会長 大澤智子(兵庫県こころのケアセンター主任研究員)が宮城県内の看護部長52名を対象に研修を行いました。
当研修は、NPOパートナーシッププログラムの一環として公益財団法人Civic Force様からの支援を受けています。

テーマは「看護管理者としてメンタルヘルスを学ぶ 業務ストレスの基礎と理解」です。
看護職が業務中に体験する惨事ストレスとその対策に関する基礎知識が講義の中心となりました。
また管理職としてどのように対応すべきか、関わる際にどのような点に注意したらよいのかなど、過去の調査結果などを例にとりながら講義は進み、参加された皆さんはとても熱心に聞いておられました。
管理職自身がしっかりセルフケアを行うことで現場がより働きやすい職場になることなど、支援者側のメンタルヘルスの大切さが伝えられました。

2011年11月29日火曜日

「被災地自治体のこころのケア活動についてのコンサルテーション」を行いました。



気仙沼保健所でのコンサルテーションの様子




仮設住宅を訪問する加藤委員長



お茶会終了後の様子



11月10日、JSTSS震災特別委員会 加藤寛委員長(兵庫県こころのケアセンター副センター長) とアシスタント1名は宮城県気仙沼市にある気仙沼保健所にて、被災者のこころのケア活動について保健所職員とコンサルテーションを行いました。

本活動はNPOパートナーシッププログラムの一環として公益財団法人Civic Force様からの支援を受けています。

活動内容:
①仮設住宅の住民を対象としたお茶会に参加し、被災者の現状や支援のニーズについての情報収集を行いました。
②気仙沼保健所こころのケア活動会議に参加し、気仙沼圏域におけるこれまでのこころのケア活動の成果と課題について検証と今後のこころのケアのありかたについて保健所職員とコンサルテーションを行いました。

コンサルテーションを通して課題への対策や被災地の状況に即したこころのケア計画がより具体的なものとなりました。
今後も継続的に支援していく予定です。

2011年11月16日水曜日

10/24「放射能対策としての健康管理事業従事者のメンタルヘルス研修」


質問に答える小西委員



10月24日、福島県伊達市保原保健センターにて、伊達市職員、保健師および栄養士22名を対象に研修を行いました。
当研修は、NPOパートナーシッププログラムの一環として公益財団法人Civic Force様からの支援を受けています。

研修のテーマは「放射能対策としての健康管理事業従事者のメンタルヘルス」。
講師はJSTSS震災特別委員会 小西聖子委員(武蔵野大学教授)が担当しました。

主な内容は、支援者のメンタルヘルスの問題を中心に、ストレスが仕事や職場に与える影響、アルコール依存の危険性について。
講演内容をもとに、質疑応答では参加者が具体的に困っている点について話し合うことができ、質問を通じて、住民が抱く放射線に対する不安や、それらの不安から生じると思われる住民からのクレームに対して、市職員として可能な対応の工夫についても参加者で共有することができました。

2011年11月12日土曜日

12月7日、8日災害時のこころのケア研修会について

先日、当ブログにてお知らせしておりました

12月7日~8日災害時のこころのケア研修会

ですが、12月7日は申込の締切と共に満席となりましたので、受付を終了致しました。
12月8日に関しましては、若干お席に余裕がありますので、引き続き申込を受け付けております。

12月8日(木):
学校版サイコロジカル・ファーストエイド(PFA-S)
学校は事件の現場となることもあれば、地域を襲った事故や災害後の回復を担う場にもなり、危機時に重要な役割を果たします。学校版サイコロジカル・ファーストエイド(PFA-S)は学校を襲うトラウマ出来事の直後に生徒、保護者、教員らを支援するための介入モデルです。これまでエビデンスがあると言われた技法で構成されています。
この研修会に参加を希望される方は兵庫県こころのケアセンターホームページの「サイコロジカル・ファーストエイド実施の手引き第2版」日本語版
(http://www.j-hits.org/psychological/index.html)をご一読の上、会場にお越しください。

会場:
TKP仙台カンファレンスセンター

座長:
兵庫県こころのケアセンター 副センター長 加藤 寛

演者:
Melissa J.Brymer,Ph.D.,Psy.D.
 /National Center for Child Traumatic Stress-UCLA
Patricia J.Watson,Ph.D.
 /National Center for PTSD     ※逐語通訳をご用意しています。

ファシリテーター:
兵庫県こころのケアセンター主任研究員 大澤智子

参加費:
無料(交通費および宿泊費は自己負担です)

受講対象者:
医療保健心理及び福祉関係者
(特に被災地にて被災者支援を行っている方)

定員:70名

【申し込み方法】
①所属、②お名前、③(居住あるいは勤務地の)都道府県名、④職種、
⑤電話番号、⑥メールアドレス、⑦参加希望日(12月8日)
をご記入の上、pfa☆jstss.org(☆を@に変えてメールして下さい)までお申し込みください。
(個人情報は適切に管理し、研修の連絡のみに使用いたします)

【受講決定通知】メールにて事務局よりご連絡します。

【事務局】
日本トラウマティック・ストレス学会 災害後こころのケア研修会事務局
メールアドレス pfa☆jstss.org(☆を@に変えてメールして下さい)
*お電話やファックスでのお問い合わせは受け付けておりません。ご質問がある場合は、上記のアドレスまでメールにてお願いします。

共催:
日本トラウマティック・ストレス学会
日本イーライリリー株式会社

2011年11月8日火曜日

かかりつけ医対象の震災とこころのケア研修

日本トラウマティック・ストレス学会とファイザー株式会社の共催事業として、日本医師会、国立精神神経医療研究センターの後援を受け、被災地のかかりつけ医を対象とした震災とこころのケア研修を行っています。

現在までに以下のような研修を行いました。


■7月27日岩手県釜石市

「トラウマケアの実際―診療上の工夫と患者との向き合い方―」
講師:金 吉晴
(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所成人精神保健研究部部長
/JSTSS理事) 

「災害のもたらす心理的影響について」
講師:加藤 寛
(兵庫県こころのケアセンター副センター長/JSTSS震災特別委員会委員長)

司会:釜石厚生病院院長代理 関 薫先生




加藤寛JSTSS震災特別委員会委員長 講義の様子




■9月20日岩手県宮古市

「死別反応と生き残り罪責感」
講師: 前田正治
(久留米大学精神神経科准教授/JSTSS会長)

司会:岩手県立宮古病院院長 佐藤元昭先生



前田正治JSTSS会長


■10月19日岩手県久慈市

「震災が被災者にもたらす心身の問題」
講師:前田正治
(久留米大学精神神経科准教授/JSTSS会長)

司会:北リアス病院院長 長岡重之先生


また、今後は以下の研修が福島県にて行う予定です。

■11月22日福島県会津市

「見えない不安への対処法―今、心の問題にどう対応するか―」
講師:小西聖子
(武蔵野大学人間関係学部教授/JSTSS震災特別委員会委員)

司会:財団法人竹田綜合病院精神科科長小園江浩一先生


■12月2日福島県県北

「見えない不安への対処法―今、心の問題にどう対応するか―」
講師:小西聖子
(武蔵野大学人間関係学部教授/JSTSS震災特別委員会委員)

司会:財団法人桜ケ丘病院院長渡部康先生


■12月9日福島県いわき市

「震災が被災者にもたらす心身の問題」
講師:前田正治(久留米大学精神神経科准教授/JSTSS会長)

「見えない不安への対処法―今、心の問題にどう対応するか―」
講師:小西聖子
(武蔵野大学人間関係学部教授/JSTSS震災特別委員会委員)

司会:医療法人ストレスクリニック院長 松﨑博光先生


■12月14日福島県郡山市

講師:未定

司会:あさかホスピタル院長 佐久間啓先生


尚、この活動は最大3年間継続していく予定です。

2011年11月5日土曜日

12月7日~8日災害時のこころのケア研修会

この度、カリフォルニアから2名のサイコロジカル・ファーストエイドのエキスパートを仙台にお招きし、研修会を開催いたします。
カリフォルニアは日本と同じ環太平洋に位置し、アメリカの中では地震や山火事などの自然災害が多発する地域であり、災害をテーマとした研究がさかんに行われてきました。
その中で、被災者の方々や被災地の復興には年単位の時間と、継続的な支援が必要であることが述べられています。
2日間にわたるサイコロジカル・ファーストエイドの研修会を通して、被災者への心理的介入の一助となれば幸いです。

日時:
平成23年12月7日(水)・8日(木) 9:00~17:00(ワークショップ形式)
※一日のみのご参加も頂けます。

会場:
TKP仙台カンファレンスセンター

座長:
兵庫県こころのケアセンター 副センター長 加藤 寛

演者:
Melissa J.Brymer,Ph.D.,Psy.D.
 /National Center for Child Traumatic Stress-UCLA
Patricia J.Watson,Ph.D.
 /National Center for PTSD     ※逐語通訳をご用意しています。

演題:
12月7日(水)
復興期における回復を支えるために:サイコロジカル・リカバリー・スキル(SPR)

12月8日(木)
学校版サイコロジカル・ファーストエイド

ファシリテーター:
兵庫県こころのケアセンター主任研究員 大澤智子

参加費:
無料(交通費および宿泊費は自己負担です)

受講対象者:
医療保健心理及び福祉関係者
(特に被災地にて被災者支援を行っている方)

定員:70名
※お申込みが定員を超えた場合は、被災地で活動する方や日本トラウマティック・ストレス学会員を優先させて頂く可能性がありますので予めご了承ください。

【プログラム】
12月7日(水):
復興期における回復を支えるために:サイコロジカル・リカバリースキル(SPR)
この1日ワークショップでは、災害から数週間から数カ月経過した復興期に、児童から成人、個人や家族を支援する際に利用できる方法です。
詳しくは、兵庫県こころのケアセンターホームページに掲載されている「サイコロジカル・リカバリースキル実施の手引き」日本語版(http://www.j-hits.org/spr/index.html)をご参照ください。
なお、参加される方はこの手引きを印刷し、ご一読した上で、会場にお越しください。

12月8日(木):
学校版サイコロジカル・ファーストエイド(PFA-S)
学校は事件の現場となることもあれば、地域を襲った事故や災害後の回復を担う場にもなり、危機時に重要な役割を果たします。学校版サイコロジカル・ファーストエイド(PFA-S)は学校を襲うトラウマ出来事の直後に生徒、保護者、教員らを支援するための介入モデルです。これまでエビデンスがあると言われた技法で構成されています。
この研修会に参加を希望される方は兵庫県こころのケアセンターホームページの「サイコロジカル・ファーストエイド実施の手引き第2版」日本語版
http://www.j-hits.org/psychological/index.html)をご一読の上、会場にお越しください。

【申し込み方法】
①所属、②お名前、③(居住あるいは勤務地の)都道府県名、④職種、
⑤電話番号、⑥メールアドレス、⑦参加希望日(12月7日、12月8日、両日)
をご記入の上、pfa☆jstss.org(☆を@に変えてメールして下さい)までお申し込みください。
(個人情報は適切に管理し、研修の連絡のみに使用いたします)

【受講決定通知】メールにて事務局よりご連絡します。

【事務局】
日本トラウマティック・ストレス学会 災害後こころのケア研修会事務局
メールアドレス pfa☆jstss.org(☆を@に変えてメールして下さい)
*お電話やファックスでのお問い合わせは受け付けておりません。ご質問がある場合は、上記のアドレスまでメールにてお願いします。

共催:
日本トラウマティック・ストレス学会
日本イーライリリー株式会社

2011年11月1日火曜日

JSTSSの取り組み-その1「情報発信に関する基本的考え方」

 今回の東日本大震災では当学会関係者の多くが、所属する組織の一員として、あるいは個人の資格で、救援および支援活動に従事してきました。たとえば、都道府県が派遣した精神科医療を担うこころのケアチームに参加した場合や、臨床心理士会をとおして教育現場に派遣された場合などの活動が挙げられます。一方で、学術団体であるJSTSSとして何をなすべきか、何ができるのかについての議論も当初から行われました。具体的可能性を探るために特別委員会の設置が理事会で承認され、まず情報発信に取り組みました。
 インターネット時代に起きた今回の災害では、ホームページ、ブログ、メーリングリストだけでなくフェイスブック、ツイッターなどの新たな方法が駆使されました。その結果、情報が迅速に共有されたという利点があった反面、さまざまな情報が氾濫し、中には真偽を疑わせるものや個人情報保護の観点で問題を孕むものがあったのも残念ながら事実です。被災地内のある保健師は「私たちの活動は丸裸にされているに等しかった」と、涙ながらに述べていましたが、情報の氾濫が現場を混乱させている側面があったのです。そのため、JSTSSが行う情報発信としては、これまでの実践と知見に裏打ちされた確実な情報を伝えることを目指し、ウェブとブログに理事が書き下ろした記事を中心に掲載しました。

JSTSSの取り組み-その2「地域保健スタッフへの支援」

 情報発信だけでは、この未曾有の大災害に対する対応としては不十分なのではないかとの問題意識を、委員会メンバーは当初から持っていました。
何とか、被災地での継続的な支援活動が展開できないか、という考えです。
精神科医療の補完をしてきた初期のこころのケアチームの活動は、各県とも夏までにほぼ収束していきました。
今後は、地元の医療機関、行政機関が中心となる長期の保健活動に移行していく必要があるのですが、地域内の医療機関および保健機関の多くが被災していますし、もともとマンパワー不足が深刻な地域であるため、たとえ十分な予算があったとしても、新たな人員を得ることは困難であるのは誰の目にも明らかです。また、事業を展開するための予算措置はなかなか目処が立たないという現実もありました。
 特別委員会では、地域保健の核となる保健所への支援が継続的にできないかと考え、各県の精神保健福祉センターおよび精神保健担当課との話し合いを重ねました。その結果、復興期に入るにあたって地域保健担当者向けの研修の機会を提供して欲しいとの多くの要望を受け、各県で試行的に実施しました。結果的に、8月までに15カ所の保健所などで研修を行いました。
この形での支援は継続のご要望が強く、研修だけでなく、ケースや活動方法に関するコンサルテーション、支援者自身のカウンセリングなどへの期待も大きいため、活動資金の獲得に向けた調整を行いました。そして、9月より公益社団法人Civic Force 様との協働事業として、福島県を皮切りに保健所等での講演、コンサルテーションを始めています。

JSTSSの取り組み-その3「医療関係者への支援」

 どのような災害でも被災者の多くは、精神科医療や心理カウンセリングなどを積極的に利用することはありません。したがって、地域保健の窓口である保健所とともに、内科や小児科などの、かかりつけ医が精神的問題にも関与する重要な役割を担っています。ということは、精神科以外の医師や看護職に心理的ケアに関する知識をもってもらうことが重要です。
JSTSSでは、市郡レベルの地域で、継続的に多彩な内容を盛り込んだシリーズでの研修が企画できないかを検討してきました。その結果、ファイザー株式会社様との共催事業として、日本医師会および国立精神・神経医療研究センターの後援を得て行うこととなりました。
7月27日の岩手県釜石市を皮切りに、医療関係者向けの講演会を実施しています。なお、この事業の実施にあたっては、利益相反や倫理的問題のないことを検討し、さらに地元医師会の意向調査などを行った上で取り組んでいます。

2011年10月22日土曜日

サイトリニューアル中です。

心理的支援を行うために必要な情報をご提供してきた「東日本大震災支援情報サイト」ですが、より内容を充実してお届けするため、現在修正を行っています。
 間もなくリニューアル完成予定ですので、今しばらくお待ち下さい。
 過去の記事は、ブログアーカイブからご覧下さい。

2011年6月2日木曜日

復興の財源

政治的混乱から復興の予算措置が遅れています。補正予算、既存の財源の活用、新たな基金設立など、可能性が議論されていますが、不透明な部分が多く、インフラ整備を除く事業については、多くの提案がされてはいても、実施に向けた財源確保はあまりめどが立っていないのが実情と思われます。阪神・淡路大震災や新潟県中越地震などでは、被災自治体が復興基金を創設し、個人への生活支援、行政がカバーしにくい新たな事業を行う仕組みが作られました。この中には「こころのケアセンター」事業も含まれていました。この復興基金の具体的な仕組みと問題点を知る資料が、公開されています。ご参考までに。
詳細はこちら

日本トラウマティック・ストレス学会第10回大会のご案内

震災の影響により、延期となったJSTSS第10回大会は、10月10日神戸国際会議場で開催されます。テーマは「」で、東日本大震災に関して、被災地からの報告、学会の動き、関連するシンポジウムなどが、企画されています。現在、参加登録を受け付けているほか、演題の募集も始まっています。会員の方のみならず、沢山の皆様のご参加をお待ちしています。
詳細はこちら
演題募集はこちら

2011年5月22日日曜日

子どもの悲嘆反応について

今回の大震災では、141人の子どもたちが親を亡くし孤児となったと伝えられています。彼らのほとんどは、親戚に養育されているとのことですが、平成14年に制度化されて活用が期待される親族里親制度がほとんど利用されていないと、最近報じられていました。阪神・淡路大震災の際には、68人が孤児になり、彼らに対してはあしなが育英会がレインボーハウスという施設を神戸市内に開き、多くの遺児たちの集う場所となりました。ここは、阪神・淡路大震災だけでなくJR福知山線脱線事故などの遺児たちのケアに大きな役割を果たしました。また、作家の藤本義一さんが発起人となってて芦屋市内に浜風の家という施設も、震災から4年後に作られています。
死別に伴う悲嘆反応の多くは、当たり前の心理的反応で時間の経過とともに、激しい感情はおさまり悲嘆も徐々に背景に退いていくといわれています。子どもたちに見られる、死別から早い時期の悲嘆反応の特徴と対応について、当学会理事の中島聡美(国立精神・神経医療研究センター)らがまとめました。
災害後の子どもの悲嘆反応の理解と対応

過去の災害に学ぶ:北海道南西沖地震

今回の大震災の対策を考える上で、阪神・淡路大震災や新潟県中越沖地震がよく参照されています。これら以外にも、忘れてはならない災害があります。それは、1993年の北海道南西沖地震です。日本海側で起きた地震としては過去最大で、大津波によって奥尻島住民の4%が亡くなるという激甚災害でした。漁業を中心とした地域が被害を受けたという点においても、今回の東日本大震災と共通した点があります。この災害で、被災者とくに子どもたちの心理的支援にあたった藤森和美が、復興のプロセスで被災地域のコミュニティが直面し、これまであまり語られることのなかった問題について書き下ろしてくれました。
北海道南西沖地震被災者の心的回復

2011年4月26日火曜日

精神科医療活動の変化

全国から派遣された精神科医療チームの活動は、地域差はあるものの、初期の混乱の中から次第に落ち着く方向に向かっています。医療中断を防ぐという当初の課題は、外部からの支援チーム、地元の医療および地域保健関係者の努力によって、克服されつつあります。地域によっては、次第に支援チームが撤退を始めたところもある一方で、もともとの医療資源の絶対的不足が影響して、外部からの支援がまだまだ求められているところもあります。地元のニーズに合わせた地道な活動がこれからも必要です。
こうした地域差は、阪神・淡路大震災の際も生じていました。地域内の医療機関の復旧程度、外部からの支援チームの多寡、保健所の機能の違いによって、活動の収束状況は異なっていました。各地域の時系列の変化を2年後にまとめた報告を紹介します。
全般的状況
神戸市東部
神戸市西部
阪神間および淡路島

2011年3月29日火曜日

阪神・淡路大震災後の精神科救護所とこころのケアセンター

現在、被災地には多くの精神科医療チームが入り、主に精神科医療ニーズに応えています。通院先をなくした精神障害者への投薬、被災した精神科病院での医療活動などは、早急に対応が必要な問題で、厚生労働省を経由した自治体からの派遣チーム、地元大学病院がコーディネートした医療チーム、精神科病院協会や関係学会からの要請に呼応した医師などが、献身的な活動を行っています。16年前の阪神・淡路大震災の際も、これらの問題に対応するために各保健所に「精神科救護所」が設置され、約3ヶ月にわたって活動しました。当時と比較して明らかなのは当初からコーディネートが行われている点です。阪神・淡路大震災の際には全体をコーディネートできたのは数週間経過してからで、しばらくは混乱した状態が続きました。また、復興期には「こころのケアセンター」という専従機関が5年間にわたり設置されましたが、さまざまな問題に直面しながら、手探りで活動を展開していかなければなりませんでした。

参考までに、阪神・淡路大震災後の状況をまとめてみましたので、ご覧下さい(PDF)

2011年3月24日木曜日

放射能災害がもたらす不安への対処

今回の大震災は原発事故という特殊な災害を引き起こしました。大震災だけでも長い回復の道のりが必要なのに、放射能という容易に社会的パニックを引き起こしてしまう事態に、今後何十年も直面していかなければならないのです。メンタルヘルスの立場から、放射能がもたらす不安をどのように理解すればいいか、防衛医科大学の重村淳先生が要約してくれました。

原子力災害が与えるメンタルヘルスへの影響
放射能が与える心への影響はとても大きいです。放射線は目に見えなくて、どのくらい被爆したかが自分で評価できません。そのため、「被曝したかも」という脅威だけで、猛烈な恐怖を起こします。過去の事例を参考に、その影響をまとめてみました。
・被曝したと思う者は、実際に被爆していなくてもそれ相応の行動をとる
避難、病院受診など
医療者の説明が入りづらい
・医療機関には、不安にかられた人々が実際の受傷者以上に受診する
医療機能のパンク
多数の精神科事例が発生しうる
・不安、身体化が前面に出やすい
身体症状と精神症状との区別が難しい
ストレス反応症状(再体験、回避、過覚醒)は比較的出にくい
・人々の反応を決めるのは情報発信者の情報の伝え方(リスクコミュニケーション)
望ましい情報の伝え方 ⇒ 正確・迅速・透明性
望ましくない情報 ⇒ デマ・集団パニックを引き起こしうる
過剰な情報 ⇒ 不安を増強させる
・もっとも効果的な治療は「情報」
情報を複数箇所から入手して情報の精度を高める
放射能汚染を抑える方法を学ぶ
科学的データに基づく安心感の回復(放射線量測定、血液検査など)

また、不安に駆られた人に、どのように接すればいいのか、当委員会の委員であり、JCO事故で地域支援を行った経験を持つ武蔵野大学小西聖子、藤森和美がまとめました。
原発事故による避難者/被災者のメンタルヘルス支援について(PDF)
子どもたちの放射線被害を心配する保護者や教育関係者の皆様へ(PDF)

2011年3月23日水曜日

外部からの支援チーム活動状況;宮城県

被災が最も大きい宮城県では、沿岸部の精神科医療機関の機能が麻痺しており、精神科医療をどう提供するかという問題に直面していました。現段階での活動状況について、宮城県精神保健福祉センターから情報をいただきましたので、ご紹介します。

・現在6チーム(厚労省のとりまとめ)が支援活動をしています。その他にも、医療救護チームの中に心のケアチームを含めたチームや、大学チームなどがいくつか活動している状況です。今回の心のケアチームとしては、被災地の既存の精神医療施設の被害が甚大だったことや被災地域が広範囲であること、現地のインフラの復旧の遅れなどをふまえて、いわゆる災害時の心のケアのニーズと合わせて、当初は精神科医療を直接提供できるようなニーズが高い状況です。そのため、自立して医療を提供できるような自己完結型の医療チーム(医師やコメディカル、薬、移動手段等)を厚労省を通じて要請しています。県でのコーディネートは障害福祉課(担当は精神保健福祉センタースタッフ)。
・現在は、被害状況をふまえて気仙沼、石巻、岩沼などに配置していますが、今後も現地のニーズに合わせて診療や避難所等へのアウトリーチを展開出来るようにしていきたいと考えています。
・現在の活動状況は、岡山県(南三陸町)、長野県(岩沼支所)、石川県(石巻市)、東京都多摩総合医療センター(気仙沼市)、長崎県(岩沼支所)、国立病院機構東尾張病院(みやぎ県南中核病院)です。これらのチームも含めて、現時点では17チーム(厚労省とりまとめ)の活動が決定しています。
・活動内容としては、避難所の巡回や既存の医療施設に常駐しての診療活動など、地域によって様々です。また、現場のレベルでは他の心のケアチームとの連携も行われているようです。

2011年3月21日月曜日

被災地外からの支援チーム、活動始まる

ガソリン不足によってアウトリーチが難しい状況は相変わらずですが、都道府県派遣のこころのケアチームが被災地に入り始めました。仙台市には兵庫県が18日からすでに現地入りし、岩手県では神奈川、静岡、和歌山、大阪の4県が22日から活動を始めます。今回の被災地は、以前から自然災害が多く発生しており、こころのケアに関して周到な準備が行われていました。活動ガイドライン、マニュアル、配布物、相談記録などが、それぞれの自治体で準備されており、それらはウェブで公開されています。実際に活動に参加される方は、派遣される地域のガイドラインなどを事前に入手し、現地では本部の指示に従う必要があります。
主な被災地のガイドラインなどは以下からご覧になれます。

仙台市 宮城県 岩手県 福島県

なお、都道府県派遣チームは被災地からの要請を厚生労働省がとりまとめ、どの自治体がどこに派遣されるかを決めています。各都道府県のチーム構成は、それぞれの精神保健主管課や精神保健福祉センターなどがコーディネートしていますので、参加される方はご自身が勤務あるいは在住されている担当部局から情報を得て下さい。

2011年3月18日金曜日

子どもと災害報道

災害後の報道は災害の実態を克明に社会に伝えるとともに、安否情報や生活関連症状などを得るための貴重な情報源です。阪神・淡路大震災の際も数ヶ月にわたって全国に報道され続けた結果、被災者の心理的影響とケアの必要性が、社会に広く理解されることに貢献しました。一方で、悲惨なシーンが繰り返し流されることによる影響について危惧する声も聞かれます。特に、子どもへの影響は早い段階から検討しておかなければならない課題です。この点に関して、アメリカ児童思春期学会の資料にしたがってガイドラインを作りました。

ニュースを見ることの影響を小さくするためのガイドライン
・子どもがどれだけの時間、ニュースなどを見ているか知っておくこと。
・報道が子どもを苦しめたり混乱させたりすることが予測されるなら、子どもとお話をするために十分な時間がとれ、静かな場所が取れることを確認しておくこと。
・子どもがニュースを見るときは一緒に見ること。
・子どもが何を聞いて何を疑問に思ったのか聞いてみること。
・必要な時にはそばにいて子どもに、安全を守ってあげると話し、子どもに簡単な言葉で安心を与えること。
・これまでになかった不眠や恐れ、夜尿、大泣き、自分の心配について話すなど、報道が子どもに恐怖や不安を与えた場合に起こる可能性のある症状を見つけること。

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子どもたちの心のケア

災害後の子どもの心理的ケアについて、武蔵野大学藤森先生がまとめてくれました。北海道南西沖地震(1993)から、この分野に取り組んでこられたパイオニアです。

被災した子どもたちにどのように対処していけばよいのでしょう?
まず、子どもたちと一緒に安全な場所に移動してください。余震が来るけれども、離れないで行動することを約束してあげてください。食べたり、飲んだり、ウンチをしたり、おしっこをする、眠るなど、当たり前のことができなくても、叱らずにいてあげてください。大人は「自分の心と身体を大事にしてあげようね」と子どもに優しく話しかけ、自分自身が子どもにとって頼りがいのある良いモデルになるのだと自覚してください。深呼吸で気持ちを落ち着かせ、背中をさする、手を握るなどのスキンシップは心を穏やかにしてくれます。次に、子どもたちと自分の感情や経験について話し合い、そのことを分かち合う機会を持ちましょう。お話をすることは、不安を少なくするのに役立ちます。また、子どもたちは「地震ごっこ」「救出遊び」など、一見すると不謹慎な遊びを行うこともあります。しかし、子どもたちは遊びを通じて、不安を克服しようとしているのです。
子どもたちの「自分たちも何か役に立ちたい」と思っています。そういう気持ちを大切にしてあげましょう。
被災した子どもにとって困難なときに大切に接してもらった体験は、その後の人生で必ず活かされます。やがてこの子どもたちが、目の前の人が困ったり悲しんだりしているときに、手を差し伸べることのできる大人に育ってくれるのです。
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2011年3月17日木曜日

惨事ストレス対策

災害現場に第一陣として派遣された救援チームの帰還が続いています。現地の悲惨さは報道されている以上に壮絶なもので、ベテランの専門職をもってしても大きな心理的影響を受けてしまうことが耳に入ります。何もできなかったという無力感、強い自責感にとらわれてしまう方が多いのが今回の特色のようです。こうした惨事ストレスへの対処法を簡単にまとめてみました。
【惨事ストレスの基礎知識】
1)誰もが影響を受ける可能性がある
2)惨事ストレスの影響は「異常な状況のもとでの正常な反応」である
3)多くは周囲のサポートや気分転換の方法を上手に使いながら回復する
【惨事ストレスの典型的な反応】
1)不眠、イライラ、過敏 (過覚醒)
2)被災地での状況や活動したことが現実のこととは思えない (解離)
3)活動中に目にした場面が急に脳裏によみがえる・悪夢を見る (再体験)
4)被災地を思い出させるものや人に近づかない・活動について語りたがらない (回避)
5)十分な活動が出来なかったことへの罪責感、怒り、無力感
【本人ができること】
1)休息  ⇒大切な人との時間を持ち、十分な休養を取る
2)気分転換 ⇒運動や趣味の時間を積極的に持つ
3)語る ⇒信頼できる人に体験を分かち合うことが役に立つ場合もある
⇒ 目指すは、快眠・快食・快便!
【職場ができること】
1)労い ⇒被災地に派遣された職員とその人の仕事をカバーしていた職員に対して
2)休息 ⇒身体と心を休める環境を
3)見守り ⇒休み明けの言動に注意を払い、普段の様子と大きな違いがないかを観察
4)日常を回復する ⇒いつも通りのあいさつ、さりげない声かけが安全な対応。

【専門家への相談】
1)これらの影響が原因で眠れないことがしばらく続く
2)状態が改善されず、気分の落ち込みが続き、業務に影響が出る

詳しくはこちらをご参照下さい

2011年3月16日水曜日

精神保健に関する情報が集約されているサイト

国立精神・神経医療研究センターが、災害後の精神保健活動に関するガイドラインなどを、1カ所にまとめたサイトを開設しました。22年度の研究によって作られたマニュアルも公開されています。ご参照下さい。
こちらからどうぞ 

また、日経メディカルには災害医療に関する情報を集めたリンク集が開設されており、日本内科学会や日本小児科学会がまとめたメンタルヘルスに関する情報にもアクセスできます。
こちらからどうぞ

2011年3月15日火曜日

支援チーム派遣に関する動き

 「こころのケア」に関する外部からの支援に関するコーディネートは現在、厚生労働省が取りかかっており、3月14日に各都道府県精神保健福祉担当部局 に対して、派遣可能性の聞き取りが行われました。一両日中に具体的な派遣が開始されるという情報を把握しております。しかし、現場は依然として危険な状況で、二次災害の可能性が注意喚起されています。また、各被災自治体で 被害の状況について調査が進められており、この結果を踏まえて精神科医療受給に関して要望が出されると思われます。
 岩手県精神保健福祉センター黒澤所長によれば、「自然災害後の精神科医療の需要のピークは1~2週目以降ですが、今回は、より効率的な精神医療支援の内容とそのタイミングにつ いて、『no harm(害を与えない)』を熟知している専門家の意見を聞きながら広域多発複合災害や郡部という特性に応じた支援を、あわてないで進めたいと希望しています。住民および現場資源をいかに守るかを優先したいとおもいます。したがいまして現時点で相談ケア班の派遣予定はたちま せん。」と、現時点での支援必要性についての判断が明確でないことが報告されています。これらの点をふまえて、現地のニーズに応じた慎重な対応を関係各位にお願いいたします。

2011年3月12日土曜日

大規模災害後の心理的支援の基本的事項

【はじめに】
心理的支援(こころのケア)は、今回のような大災害の場合には、とても重要な長期的支援の一つです。しかしながら、支援の方針・方向性を定めないままに複数のチームが現地に向かうと、被災地をかえって混乱させてしまうことになりかねません。また、被災地での受け入れ態勢や、計画や情報が不十分な状態で先んじて活動しようとすると、最悪の場合、被災地に害を与えかねません。災害の影響は、直後の混乱期を過ぎてからも長く続きます。心理社会的な支援活動は、地域社会に根ざし、持続可能なものであることが望ましく、これを立ち上げるには被災地の十分なアセスメントと準備が必要になります。
厚生労働省のガイドラインはこちら

【活動の基本的な態度】
災害発生後早期(直後~4週間程度)に推奨されている心理的な支援法は「サイコロジカル・ファーストエイド(PFA)」です。サイコロジカル・ファーストエイドは、治療を目的とした介入法ではありません。被災者に関わるすべての救援者、支援者にとって必要とされる基本的態度と、被災直後の苦痛を和らげるための介入方法をまとめたものです。

PFAの概要はこちら
サイコロジカル・ファーストエイド実施の手引き」全文はこちら。

会長前田正治より緊急メッセージ

東北地方太平洋沖地震に関する緊急メッセージ
被災者および会員の皆様
 今般の東北地方太平洋沖地震に被災された方々にお見舞い申し上げますとともに、不幸にしてお亡くなりになられた方々のご遺族に対して心よりお悔やみ申し上げます。今回の震災は、その規模、程度、あるいは被災地の広さにおいて、まさしく未曽有のものであり、御家族の安否が不明な方、家や仕事場を失った方々の胸中は察するに余りあります。一刻も早い救出と治療、そしてライフラインの復活を祈るばかりです。同時に、現在全力で救援に関わっておられるすべての職種の方々のご活躍を心より期待するものであります。 現在日本トラウマティックストレス学会として、今般の震災に関する特別委員会(加藤 寛委員長)を立ち上げ、早急に具体的な活動を開始します。また被災者、会員の皆様のための必要な情報を提供すべく、このHPにおいてもサービスを提供できるようにアップします。微力ではありますが、学会として全力を尽くして被災者・支援者に対するサポートを提供したいと考えます。学会員の皆様におかれましては、今後とも我々の活動に対してご支援・ご理解賜れば幸甚です。よろしくお願いいたします。
 また、きたる4月に行われる第10回大会(重村 淳大会長)においても、今般の震災を受けて一部学会内容を変更する可能性があります。詳細についてはおって通知いたしますので、あわせてご協力いただきたく存じます。

2011年3月12日
日本トラウマティックストレス学会会長
前田正治